ヤングムスリムの中には、進学の問題を抱えている子どもが少なくありません 。特に日本の教育システムを理解していない外国人家庭では、充分なサポートが難しく、高校選びに失敗して中途退学してしまう子どももいます。そこで、愛知県多文化共生推進室の協力を得て、外国人のための進学相談会を開きました。以下にその内容を要約してお知らせします。
日時:3月23日(土)午後3時~5時
場所:名古屋モスク4階礼拝室
参加者:大人19名子ども10名
<SYM名古屋コーディネータからの報告>
・モスクに関わりのある52人の子どもたちの事例を紹介。 母親が日本人の場合より母親が外国人の場合の高校進学率が低く、進学しても中途退学する可能性が高い。(グラフ参照)
<多文化共生マネージャーのお話>
・日本では、親は子どもに教育を受けさせる義務がある。 外国籍の親も、子どもに教育を受けさせる義務があると考えたほうがよい。
・ 高校は進学や就職の入り口 。高校の卒業資格は将来の選択肢を広げる。(高卒の求人数は中卒の求人数の約140倍、正社員の賃金は将来アルバイトやパートの賃金の2倍、といったグラフを提示。愛知県多文化共生推進室発行の『外国につながる子どもたちの進路開拓ガイドブック』を参照)
・全日制高校の他に、昼間定時制高校がある。3~6年で卒業、在学中にアルバイトをすることも許される、大学に進学する子も多い。
・日本の就職の現状は、高卒では工場で働く人が多く、大卒では事務や専門的・技術的職業に就く人が多い。
< 愛知県立高校教員のお話>
・ 城北つばさ高校は、単位制による定時制課程の高校。午前中4時間の授業を受講すれば4年間で卒業、「午後の選択の時間」を利用すれば3年間で卒業できる。「午後の選択の時間」は、 勉強が苦手な生徒向けの基礎科目の他に実社会や家庭で役立つ勉強もできる。
・ 外国人生徒のための支援があるので、学校の成績も日本語能力も上げられる。例えば、 午前の「国語総合」は外国人生徒だけの少人数クラス、午後の「日本語入門」ではで他の科目の予習復習と日本語学習ができる。
・城北つばさ高校の紹介。 (校舎や授業、学校行事、部活動の様子がわかる写真を多数提示)
< 愛知県多文化共生推進室担当者のお話>
・ 日常生活で使う日本語と勉強で使う日本語は同じではない。だから日本語を学習することはとても大切。
・ 小学生の時にすること:学校を休まない、遅刻しない、毎日宿題をする。勉強で使う日本語は、日本語教室などで学ぶことができるので、親は子どものために日本語を学べる場所を探してあげてほしい。
・ 中学生のときにすること :日本の高校の仕組みを知って、中学卒業後の進路を親子で一緒に考える。
お話はすべて、英語・インドネシア語・パシュトー語に訳されて参加者に伝えられました。すでに高校や大学に進学して勉強を頑張っているヤングムスリムたちも、自分の経験を語ってくれました。子どもが高校進学をあきらめなくていいよう、進学しても中途退学しないよう、この説明会が一人でも多くの子どもの未来を明るいものに変えるきっかけとなりますように。
※ 子どもが上手に日本語を話しているからといって、学校の勉強に必要な日本語が身についているとは限らないことを知る必要があります。お近くの日本語教室については、多文化共生センターにご相談ください。
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