ヤングムスリムの中には、進学の問題を抱えている子どもが少なくありません。特に日本の教育システムを理解していない外国人家庭では、充分なサポートが難しく、高校選びに失敗して中途退学してしまう子どももいます。そこで、愛知県多文化共生推進室の協力を得て、外国人のための進学相談会を開きました。以下にその内容を要約してお知らせします。

日時:3月11日(土)午後3時40分~5時
場所:名古屋モスク4階礼拝室
参加者:25名

<愛知県多文化共生推進室からのお話>
・高校へ進学して卒業すると、大学・短大・専門学校の入学試験を受けられる。職業の数や種類が増える。高卒の求人数は中卒の560倍。
・高校には公立と私立がある。私立は公立に比べて、授業料は高いが、世帯の所得によって授業料軽減補助金を受けることができる。公立も就学支援制度がある。
・高校には全日制・定時制・通信制の3つの課程がある。全日制は、多くの学校が昼間に6限まで授業があり3年間で卒業する。定時制は、多くの学校が昼間あるいは夜間に4限しか授業がなく、通信制も登校日は主に日曜日なので、普通は卒業に4年かかる。時間に余裕があるので、アルバイトをしながら通える。
・高校の入試に合格するためには、中学での学校生活(学校を休まない・遅刻しない・毎日宿題をする)と学力と面接が重要。生活で使う日本語だけでなく、勉強で使う日本語を身につける必要がある。日本語教室の場所など日本語のサポートについては、住んでいる市町村の国際交流協会(名古屋市は「名古屋国際センター」)に相談してほしい。

< 先輩ムスリムからのお話>
・全日制高校3年生:公立高校の入試科目は英・国・数・理・社の5科目だったが、大学受験に比べてみたらずっと簡単だった。 暗記した答えを書くだけの高校入試と違って、大学入試はその答えを導く課程が大切で、レベルがとても高く、大変だった。
・定時制高校3年生:昼間の定時制だったが、毎日しっかり授業を取って3年間で卒業した。部活も楽しめた。 公立だったので授業料が安く、体育館用の靴が一番高かったくらい。大学進学を目指している。両親ともに外国人の家庭なので、日本語の勉強を頑張った。
・通信制高校3年生:中学の時不登校だったので、高校は私立の通信制に進学した。授業料 が高くて続けられなくなり、公立の定時制に変わるが、やはり毎日登校するのがつらくて、公立の通信制に変わった。自分に合う学校が見つけられず大変な思いをしたが、あきらめずに頑張って志望する短大に合格できた。

 

今回は、高校生3人が先輩ムスリムとして体験談を語ってくれた他、お話を英語に通訳するのも大学生のムスリムが担当してくれました。説明会の参加者にとって、彼らはとても良いロールモデルとなったと思います。
外国人の子どもたちが高校進学をあきらめなくていいよう、進学しても中途退学しないよう、この説明会が一人でも多くの子どもの未来を明るいものに変えるきっかけとなりますように。

※過去の説明会のご報告はこちら: 2019年 2020年
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