イスラーム教の聖典クルアーン(コーラン)にはこうあります。
【人を殺した者、地上で悪を働いたという理由もなく人を殺す者は、全人類を殺したのと同じである。人の生命を救う者は、全人類の生命を救ったのと同じである。】(食卓章5:32)

預言者ムハンマド様(彼にアッラーの祝福と平安あれ)ご自身も、何年にもわたり、ご自分を侮辱したり迫害してきた人々を、無条件でお赦しになりました(ヒジュラ暦8年マッカ無血開城)。ですから、彼らの行動を正当化する要素は、イスラームにはどこにもありません。

イスラームでは、今回のような冒涜によって、一ムスリムによる殺人が許されることはありません。冒涜は悪いことですが、それが死刑などの刑罰の対象になるかどうか判断するのは、一ムスリムではなく、裁判所、もしくは裁判官であり、それ以外の人が行う制裁は、ただの殺人であり「犯罪」です。日本で、誰かが名誉棄損行為を行ったからと言って、勝手に相手を殺すことが許されず、「犯罪」になるのと同じです。

イスラームで殺人が許されるのは、裁判で死刑判決が下った場合、戦争が許されるのは自衛の戦いです。相手が武器を持って殺しに来る場合、黙って殺されなさい、ということはなく、自衛の戦いは許されています。しかし現在、過激派が行っているような、無実の一般市民を殺すことは、イスラームではまったく許されていません。

今回のような事件がイスラームで正しくないことは、イスラーム世界で高い権威を持つスンニ派の最高権威機関アズハルのファトワ(宗教見解)で確認できます。(英語、ウルドゥ語、インドネシア語など9か国語) http://eng.dar-alifta.org/foreign/ViewArticle.aspx?ID=645&CategoryID=1