急増するイスラム教徒の観光客への対応を学んでもらおうと、県は22~24日、観光に携わる人を対象にしたセミナーを県内4カ所で開く。先月にはイスラム圏の顧客を持つ旅行会社に県内の観光地の視察を依頼。県は受け入れ態勢の整備を本格的に始めた。

 2014年の県内の外国人宿泊者数は延べ約66万2千人。年々増ログイン前の続きえ続けている。国民にイスラム教徒が多いマレーシアとインドネシアの宿泊者数は13年に計約9270人だったのが、14年は約1万9680人に倍増。昨年は11月までに約2万4800人に達した。

 イスラム教徒の受け入れには食事や礼拝での気遣いが欠かせない。そこで、県は先月、顧客の大半がイスラム教徒というマレーシアの旅行会社員たちを招き、高山市の中心部や白川郷などの観光地や宿泊施設など約10カ所を4日間かけて視察してもらった。

 社員たちからは「見た目が複雑な料理は調理の過程で豚肉やアルコールなど飲食が禁じられている物が入っているかもと不安になる」「1日5回の礼拝に特別な設備は必要がない。静かに集中できる空間さえあれば」といった助言を受けたという。

 高山市では、イスラム教徒を積極的に受け入れようと活動する民間団体「飛騨高山ムスリムフレンドリープロジェクト」も結成されたといい、観光客の増加に伴って受け入れの機運が高まっている。

 セミナーは計4回。名古屋モスクのサラ・クレシ好美理事が、イスラム教の基礎知識や実践的な受け入れ態勢を講演。県と協力関係にある観光コンサルタント会社「マックエイト・ジャパン」(東京都)の永田聡子代表がマレーシアの旅行動向について講演する。

 高山会場では講師2人と、受け入れ態勢の整備に積極的な飲食店経営者らが参加するパネルディスカッションもある。いずれも先着順で定員50人、申し込みは18日までに県観光誘客課(058・272・8360)。会場と開催日時は次の通り。

 【恵那市】22日午後2時~4時、恵那峡グランドホテル【下呂市】23日午前10時~正午、水明館【高山市】23日午後2時~5時15分、市民文化会館【岐阜市】24日午前10時~正午、岐阜都ホテル

(山岸玲)