ヤングムスリムの中には、進学の問題を抱えている子どもが少なくありません。特に日本の教育システムを理解していない外国人家庭では、充分なサポートが難しく、高校選びに失敗して中途退学してしまう子どももいます。そこで今年も、愛知県多文化共生推進室の協力を得て、外国人のための進学相談会を開きました。以下にその内容を要約してお知らせします。
日時:2月22日(土)午後3時40分~5時
場所:名古屋モスク4階礼拝室
参加者:31名
<SYM名古屋コーディネータからの報告>
・モスクに関わりのある子どもたちの事例を紹介。 母親が日本人の場合より母親が外国人の場合の高校進学率が低く、進学しても中途退学する可能性が高いことをグラフを使って説明。中途退学者の半数が非行に走っている現実がある。高校卒業に大事なのは、日本語の学習と自分に合った高校選び。
< 愛知県多文化共生推進室担当者のお話>
・ 高校を卒業することは、進学や就職の入り口。高卒の求人数は中卒の400倍、正社員と正社員以外の賃金の差は2倍になることもある。
・ 高校の入試に合格するためには、中学での学校生活(学校を休まない・遅刻しない・毎日宿題をする)と学力と面接が重要。生活で使う日本語だけでなく、勉強で使う日本語を身につける必要がある。
・子どもの教育には、幼稚園から高校まで公立だとしても、1000万円以上かかる。子育てに関する手当や進学のための助成制度を活用するとよい。
< 先輩ムスリムからのお話>
・長期不登校だったため、入学しやすい通信制高校へ入ったが、サポートがなく、卒業にも大学進学にも苦労した。高校はしっかり選んだ方がいい。
・日本語が苦手だったので、英語で学べる大学に入学した。高校を卒業すればいろいろなオプションがある。まずは卒業することを考えてほしい。
今年は、大学生ムスリム2人が先輩ムスリムとして体験談を語った他、 お話を英語に通訳するのも別の大学生ムスリムが担当してくれました。説明会の参加者にとって、彼らはとても良いロールモデルとなったと思います。
外国人の子どもたちが高校進学をあきらめなくていいよう、進学しても中途退学しないよう、この説明会が一人でも多くの子どもの未来を明るいものに変えるきっかけとなりますように。
※ 昨年の説明会のご報告はこちら(日本語教室の情報についても掲載あり)